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■勇者の過去
今日は新潟へ遊びに来た。
新潟と言えば米処。
私の母は煎餅が大好きなので、ここ新潟で買った煎餅をお土産に送ってあげようと思い、
宅配便を扱っているコンビニを探した。
「コンビニコンビニ・・・っと・・・」
都会と違い、思うように見つからない。
しばらく探してようやく見つけた。
「すいません、宅配便お願いしたいんですけど。」
「あ、じゃあ、こちらの送り状に必要事項を記入して下さい。」
えーっと・・・ここがこうで・・・あっ!失敗した!
「すいません、書き間違えちゃったんでもう一枚下さい。」
なんか後ろで舌打ちが聞こえる。
振り返ってみると、ただでさえ目つきの悪そうなヤツが血走った目でこっちを見ている・・・。
なんなんだこいつは・・・早く書かなきゃ。
失敗した!
「度々すいませんもう一枚下さい。」
・・・・・・・・・。
ぎゃー!また失敗した!
・・・・・・・・・。
「すいません・・・もう一枚・・・」
また失・・・
あせるなあせるな、ここは一つ深く息を吸って・・・。
書けた!
「書けました。これでいいですか?」
「はい、それでは荷物をお預かりします。」
「時間が掛かってしまいすいません・・・。」
「こちらが控えになります。ありがとうございました。」
私は控えを受け取り、店員に礼を言った。
そして店を出ようとレジを背にしたその直後、後ろから男の罵声が聞こえた。
「はぁ?なんだとこの野郎!」
「申し訳ありませんお客様、もう送り状が・・・」
「あーもういい!こんなもん送るのやめだ!やめ!やめ!」
私が振り返ると、さっき私の後ろに並んでいた男が、
店員に向かって持っていた荷物を投げつけていた。
次の瞬間、男は足早に私の横を通り過ぎ、そのまま店を出て行ってしまった。
荷物を投げつけられた店員の足元には、箱から飛び出した餅が転がっていた。
店員は呆気に取られた表情で空箱をしっかりと受け止めていた。
なんだったんだあいつは・・・・
私は男に呆れつつ、店を後にした
店の自動ドアが開いた瞬間、私は思わずつぶやいた。
「いきなりキレる若者ってきっとこういう奴なんだ」
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